MATO PARENTS JOURNAL
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RAINBOW
「当たり前」を疑うことから自分らしさが生まれる
河西景翔[GUEST]
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皆さんは「こども」を漢字に変換する時、
「子供」としますか?
それとも「子ども」としますか?
私は、後者の「子ども」を使用しています。
遡ること20数年前の保育士になりたての頃、一番初めに指導されたのは「子ども」という漢字の表記の仕方でした。
この「供」という漢字は、「供える」という意味を持っていて、大人の横に供える子で「子供」という漢字が生まれたそうです。
確かに、経験値の違いから子どもは大人の力をかりる場面は多いかもしれません。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
「人権」の観点からお話をすると、子どもは生まれながらにして「権利」を持っています。
「大人の横に供える」と言う表現は、子どもを大人よりも下に見ていて「子どもの権利」を無視していることになるのではないか?
そういった漢字に対しての些細な違和感がきっかけで、保育の現場では
「子供→子ども」
と表記されることが当たり前になったと先輩の保育士から教わりました。
それまで、当たり前に使っていた「子供」と言う漢字も、その話を聞いてから意識が変化し、そこから自分自身も
「子どもたちの人権を守り、一人の『人』として大切にする」うえで「子ども」という表記を使っています。
文章を書く仕事やインタビューが活字になる際にも、必ず「子ども」の表記にしています。
しかし「子供でも子どもでもどちらでもいいじゃん!」というご意見や、「国は『子供』と表記している」とご指摘を受けることもあります。
でも、子どもを大切にしたい気持ちや先輩方から受け継いだ漢字への思い、そして子どもに関わる仕事に就いている限りは、この表記に対して譲れない自分がいます。
想いがあればあるほど、言葉や名称の選択に意思を持つ。言葉選びは大切なんですよね。
また、「保育士」という名称になった直後くらいに保育の現場で働き始めた私は、「保父さん」と呼ばれることが多々ありました。
子どもを育てるのになんで男女で呼び名が異なるのか?
仕事内容も男女で分けられることもあり、「人」としてではなく「性別」でカテゴライズされていることが嫌で、「保父」と呼ばれるたびに違和感を抱えていました。
最近は「保育士」が定着し男女で仕事が分けられることも、「保母」「保父」という名称で呼ばれることは少なくなりましたが、何気なく使っている名称は知らぬうちに固定したイメージを作ってしまいがちです。
ペアレンツバッグは
育児のあり方を変える
今回、MATO by MARLMARLが「マザーズバッグからペアレンツバッグへ」と名称の更新を提案していることも、これに近いのではないか?と私は思います。
「子育ては夫婦(男女)でするもの」、これは当たり前のように言われていますが、「夫婦(男女)」と断定してしまうと、それ以外の人は「子育てを手伝わなくてもいい」そんな構図ができてしまう気がします。
子どもを取り巻く環境はここ数年でガラッと変化し「こども家庭庁の設立」や「多様な愛着関係の必要性」など、子育ては夫婦だけが行う時代は終わりを迎えています。
社会全体で色々な視点から「子どもを真ん中」で育てていく時代へと変化していることを感じています。
また、仮に「マザーズバッグ」という名称のままでも良いのかもしれません。
しかしそれは「育児=母親がするもの」という誤った考えを社会全体で受け入れ続けるということにも繋がるのではないでしょうか?
「マザーズバッグ」や「ファザーズバッグ」と使う人を決めつけてしまうような名称ではなく、
「男女でも、女性同士でも、男性同士でも、自分の大切な動物とでも。誰とでもシェアして使っていい」
そんな自由な意味が包括的に込められている「ペアレンツバッグ」と言う名称は、
「多様性と豊かな心を育む未来」を創るための大切な社会的アクションだと私は感じました。
保育の現場に13歳で入り、早くも30年近くが経とうとしていますが、社会は変わっても子どもたちは変わりません。
いつの時代もキラキラとした笑顔とパワーをもっていて、その力にたくさん助けられここまで頑張ることができました。
7年前に保育士から子育てアドバイザーと肩書を変え
「保育も育児もファッションも男女年齢関係 ないジェンダーレスな社会づくり」を目標に掲げ活動を始めたのは、
子どもたちへの私なりの恩返しをしたかったからです。
私が「未来を生きる子どもたちの代弁者」となり発信を続けるのは、
意味のないカテゴライズや言葉にとらわれず、子どもたちが自分らしく生きられる社会づくりを目指すため。
子どもたちが自由に明るい未来を描けるように、子どもたちに寄り添いながら、これからも日々頑張っていきたいと思います。
河西景翔
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