MATO PARENTS JOURNAL
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BLUE
自由研究との向き合い方。心の成長の裏にあったストーリー
柿沼 絢乃
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先日読んだある著名人のインタビューの中で
「人生の中で一番怖かったことはなんですか?」
という問いを見かけました。
自分のことに置き換えて「私はなんだろう」と思ったときに確実にあの日のことだな、と思う答えがありました。
今日は私が今まで生きてきた中で、一番怖かった日のことを書きたいと思います。
そして、このことはいつかこのMATO JOURNALの場をお借りして、紹介したいと思っていたことのひとつでした。
私が人生の中で一番怖かったこと
それは
息子がはじめて熱性けいれんを起こした日
です。
おそらくペアレンツの方が多いMATOユーザーのみなさんは
「熱性けいれん」
という言葉、聞いたことがあるのではないでしょうか。
熱性けいれんとは、その名の通り、生後6ヶ月頃〜5歳くらいまでの小さな子どもが発熱に伴って起こすけいれんのこと。
幼い子どもは、まだ脳が発育途中にあるため、急な体温の変化に弱く、発熱するタイミングでけいれん発作を引き起こすことがあります。
これは、およそ10~20人に一人の子どもが経験すると言われています。
長男1歳半頃。今回はその頃のことを書きました。
今回改めて思い出すためにその日の日記を読み返しました。
2018.7.15
長い長い夏の日
壮絶な一日だった。自分が生まれてから今日まで、味わったことのない経験と感情だった。
(息子は前日より熱を出していました)
今日も熱は高いが楽しそうに遊んでいた。しかし急に四つん這いのポーズを取ったかと思った次の瞬間、ガタガタと震え出し、目が白目になり、口から泡を吹き出した…
「これが話に聞く熱性けいれんか」と、妙に冷静に分析する自分と、「息子死ぬんじゃないか」とパニック状態の自分が頭の中に混在していた。
(今思い返すと、事前に近しい人のお子さんが熱性けいれんを起こした時の話を聞いていたのは、私にとって不幸中の幸いでした。
またそれに付随して「熱性けいれんでは死なない」という情報も耳にしていたことは重要なことだったなと思います。
熱性けいれんそれ自体で死んでしまうことはないそうです)
1〜2分白目で震え意識のない状態が続いたかと思うと、その後4〜5分黒目が明後日の方向を向き、焦点が合わず呼びかけにも反応しない状態が続く。
それからようやくなんとなくぼんやりしながらも目を少しずつ動かし出す、ただかなり朦朧としている。
思い出すだけでも動悸がするような恐ろしい光景だった。(中略)
程なくして救急車が到着し、救急隊員の方がテキパキと状況を確認してくれる。
この頃には息子の意識も戻り、これは大丈夫なんだろう。となんとなく思ったのだった。思うしかなかった、っていう表現の方が正しいかな。
家からすぐの総合病院が小児科の先生不在につき、少し離れた病院へ。
診断の結果、意識もはっきりしているし一旦は自宅に帰って様子見で大丈夫だろうとのことだった。
ただ、もしかするとけいれんを繰り返すかもしれない。と言われ身構えたが、もしけいれんを始めたらとにかく焦らず
「何分間のけいれんか」「左右対称のけいれんか」「目はどうなっているか」
をしっかり見て、下手に抱き上げたりせず、嘔吐の危険があるときは横に向けた状態にする 、というアドバイスをもらった。
5分以上けいれんが続くようならまたすぐ救急車。
ただそれより短ければけいれんがおさまってから病院へ向かうのでも大丈夫、と言われた。
自宅に帰ってからはまた絵本を見たり、積み木で遊んだり、普段の様子を見せていた。
さすがに日頃の食欲はなかったが、大好きなヨーグルトをしっかり食べ、きっとこのまま元気になっていくのかな、なんて思っていた夕方、わたしのお腹に乗って寝始めた。
小一時間ほどして眠れないのかつらそうに泣いて起きてしまい、眠ったりぐずったりを繰り返す。 身体を触ると相当熱い。あれ、これは…と思っていたら、またしてもガクガクと震え始めた。まさかの2度目のけいれん。
横向きに寝かせ、冷静に冷静に、と自分に言い聞かせながらけいれんが続く時間をカウントする。 およそ50秒でけいれんはおさまったが、気持ちとしては500秒にも5000秒にも感じられた。
白目を向いて震える息子を目の前にしながらとにかく数を数えることしかできないなんて、もはや地獄でしかない。
(これは後から聞いた話なのですが、その時の様子をスマホで動画におさめるのが一番わかりやすい方法だそうです。
あまりに怖い光景を動画に残すなんて、とも思うのですが、受診の際にお医者さんにそれを見てもらうのが最も的確に状況を伝えられるとのこと)
先程かかった病院と家からすぐの病院に連絡を入れ、相談の結果家からすぐの病院へ向かうことにする。
タクシーに乗る距離でもないので、抱っこ紐に乗せて早歩きで向かう。
汗と焦りが噴き出す暑さで、サウナにいるみたいだった。息子は眠っているのか朦朧としているのか、区別がつかない状態。
一刻も早く病院に着きたい、と本当に心から思って足をひたすら動かした。
少し待ったのち診察があったが、この短時間で2回もけいれんをしているのは少し不安がある、とのこと。
高熱の原因とけいれんの原因を調べながら経過観察した方が良い、となり入院することが決定。(中略)
病棟へと向かうが息子はまず処置室で採血と点滴のラインをつなぐ処置をされる。
なかなか処置室から息子が戻ってこない、と思っていたら点滴に相当苦戦したらしく、あっちこっちに点滴失敗の痕が。
代われるもんなら代わってあげたい。
このあと長男は数日間の入院生活の中で脳波の検査などを受けましたが、異常は見られず、
けいれんの理由は熱性のもので間違いないでしょう。という診断がおりました。
お医者さんも看護師さんも優しく、そして力強く、
心細さを感じていた私のケアまでしてくださり、息子は数日後無事に元気に退院しました。
退院した時。数日ぶりに帰宅しておともだちのかえるくんを抱きしめていました
子育てについて話したり、書いたりする時
なるべく「こうしたほうがいい」とか「こうすればうまくいった」というような表現はしたくないなと思っています。
だって、子育ては十人十色で、子どもの数だけ正解があると思っているので、
断定的な「こうすればいい」は無いと考えるからです。
だけど、自分がした経験を誰かに伝える事で
「こういうこともあるんだ」
と知ってもらうことができ、誰かの心構えのひとつになれば嬉しいなと思っています。
今回熱性けいれんの経験談を紹介したのはそんな想いがあったからでした。
あの日、小さな身体でけいれんを乗り越えた長男は
この春小学生になりました。
熱性けいれんは小学生になる頃から、ぐっと発症の頻度を落とすそうです。
しかし、これからだって思いもよらぬ出来事は出てくるのでしょう。
でも、ひとつずつ乗り越えていくしか方法はありません。
そんなことを考えていたところ、
ちょうど友人から連絡が入りました。
1歳の娘ちゃんが誕生日を迎えたので、小さなぬいぐるみの贈り物を送っていたのですが、
御礼とともにそれを嬉しそうに抱っこする動画を送ってくれました。
可愛い!!!と返事を送ったところ
「いやほんとさ、子どもってさ、可愛すぎるわ、、何してても可愛い
でもこれから色々あるんだろうな、、怖さもあるよ」
と返ってきました。
私がさっき考えていたこととあまりにリンクする内容にちょっと驚いてしまったのですが
(私の脳内、見た?と思いました。笑)
自然と指が動いて返事を打っていました
「大丈夫、何があっても可愛さが全てを乗り越えるパワーになる」
自分でも半ば無意識で打った文章を見て、
そうなんだよな
どんなに大変なことが起きても、どんなに怖い出来事があっても
(もちろんそんなことが起きないことを祈るばかりなのですが)
子どもの可愛さが全てを乗り越えるパワーになるんだよなと
改めて思い返しました。
子どもの可愛さは無敵。
恐れることが無いわけではありませんが、親になった私には無敵の武器がある。
長男の熱性けいれんを乗り越えられたように子どもの可愛さを胸に、これから何があっても乗り越えようと誓いました。
日記と共に見返した1歳半くらいの長男との写真...懐かしかったです
柿沼 絢乃
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