PARENTS JOURNAL

言葉以外の方法で。

幼い頃から英語を学んできた私は日本語と英語の「言葉」を使って人とコミュニケーションを取ることで新しい世界を知り、自分の知識を高め、仕事に就き、そこでもまた「言葉」を使って英語の先生として生徒たちと関わってきました。

教室

英会話スクールで『3匹のこぶた』の英語劇を行った時の私の写真。当時4歳くらい。この頃にはもう英語で簡単な会話ができるようになっていて、その頃から「言葉」でのコミュニケーションの楽しさを知っていたような気がします。

そんな「言葉」をとても大切な物だと考え、専門にしてきた私の元に生まれた息子はまだ「言葉」が話せません。

息子は自閉症スペクトラムという特性を持っています。

まだ3歳なのでこれから話せるようになるかもしれないし、ならないかもしれません。

どうして話せないのかな?と不思議に思っていた時期や、言葉を話してくれると楽なのになと思う場面に遭遇したことはもちろんあります。

しかし不思議なことに私は息子が言葉を話せないことに悲しいという感情を抱いたことはありません。

なぜなら息子は自分の気持ちを「言葉」以外の方法で伝えようとしてくれるからです。

例えば絵本を読んでほしいとき、本棚から選んだ本を持って私の膝に座ります。

お出掛けしたいときは自分の靴下を持ってきて私の顔を見つめます。

お風呂に入りたい時、お風呂で遊ぶボールを持って誘ってきます。息子は息子なりに考えて「言葉」以外の方法で自分の気持ちを伝えてきます。

絵本

言葉は話せませんが、絵本を読むのは大好きな息子。人に読んでもらうのも、自分で読んで楽しむのもどちらも好きみたいです。

息子を見ていると私たちは普段「言葉」に頼りすぎているのではないかと思うことがあります。

言葉が通じるからと言って顔を見ずに人と話してしまう事ってありますよね。

特に朝の忙しい時間や夜疲れている時など、ついつい顔を見ずに返事をしたり。

息子とのコミュニケーションは彼の表情をいかに読み取れるかが勝負です。

顔を見ずにコミュニケーションを取ることは不可能なんです。

今何をして遊びたいか、今日の体調はどうかなどすべて息子の表情から読み取ります。私は息子のお陰で人の表情をよく観察できるようになりました。英語の先生として赤ちゃんから大人まで沢山の方を教えてきましたが、息子が生まれてから授業が更に楽しくなりました。

私がこう声をかけるとこんな表情をするのか、この表情はこんな意味だな。と言葉でのコミュニケーションだけに頼るのではなく言葉より更に深い所にある人の気持ちに少しだけ近づけた気がします。

いつも新しい世界を見せてくれる息子。

彼のお陰で自分の中の「当たり前」を見直すことができています。

これからも息子の顔を、瞳の奥をしっかり見ながら向き合っていきたいな。

抱っこ

産院から退院する時に撮った写真。このときから私の目をじっと見てくれていますね。子どもの瞳ってキラキラで吸い込まれそう。

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