MATO PARENTS JOURNAL
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BLUE
自由研究との向き合い方。心の成長の裏にあったストーリー
柿沼 絢乃
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先日、写真家の繁延あづささんが自身の著作 「ニワトリと卵と、息子の思春期」 について文章を寄せているものを読みました。
この本は小学6年生だった繁延さんのご長男が発した
「ゲーム買うのやめるからさ、代わりにニワトリ飼わせて」
という衝撃発言を発端にはじまる3年間を綴ったエッセイ。
「ニワトリを飼う」と聞くとかなりの驚きエピソードのように感じますが、
我が家にとって少し先の思春期の家族模様を垣間見ることができて、共感も学びもある一冊でした。
繁延さんが、この本に関してこう書いていました
...
書籍化の知らせを聞いたとき、ふと“フレームを広げよう”と思いました。
写真では、どこからどこまでを画面に入れるかを検討するのをフレーミングと呼びます。
画面の切り取り方しだいで、まったく違った風景になることもあり、その感覚が染み付いていました。
(中略)
フレームをひとまわり広げると、まったく違う家族の姿が露わになる。
それまでの経験や、家族の外側にあるこの社会の部分まで描けるはず。
私は、この大きな家族写真を撮る気持ちで書くことにしました。
(童話館ぶっくくらぶ通信 2023年2月号 より)
...
書籍化にあたって出来事をどう切り取ったか、という内容でしたが、
この文章を読んだ時、これは子育ての「拡がり」のようなものにも通じるなあと感じました。
玄関に飾っている我が家の「家族写真」
フレーミングという捉え方で見つめると、子どもが産まれたばかりの生活というのは、
まるで「ドアップのツーショット」のようなところから始まったように思います。
周りも見えず、自分と赤ちゃんしかいないような孤独な世界にいると感じる人も多いのではないでしょうか(私もそうでした)
そこからフレームを広げてみて初めて「私は社会の中で子育てしているんだ」と感じることができるのだと思います。
そしてその感覚こそ“孤育て”などと言われる現代の育児を救う視点のように思います。
ドアップ写真のふたりきりの世界から、私が少しずつフレームを広げることができたきっかけは、
他でもない、様々な人とのコミュニケーションでした。
特に私の場合、子どもの存在があって初めて繋がる人達からの声掛けに勇気を貰う日々でした。
例えば買い物に行った先のスーパーの店員さん。
子どもがいなければ、ただ買い物をして帰るだけの場所でしたが、
レジをしながら「可愛いねえ」と抱かれた息子に声をかけてくれる、その一言の有難さ。
別の日はバスの中。
「小さいねえ、これくらいの時は本当に大変だけど頑張って。あっという間に大きくなるんだよ」
と、母業のずっと先輩であろうおばあちゃんに激励される。
そういうことがあるたびに、ああ、私は社会の中で子育てをしているんだと初めての価値観を持ったように思います。
今日は大人と喋ってない…なんていう重苦しい気持ちを払拭してくれたのは、こんな街中でもらう、何気ない声でした。
「ドアップのツーショット」から少し抜け出せたかな、という頃。長男はスリングが好きでした。
今季MATOからのメッセージ
「拡がる」
子育てで繋がる新しい出会い
今まで知らなかった新しい価値観
成長と主に無限に拡がっていく拡がっていく子どもたちの世界
パートナーと、子どもと、そして育児の仲間=ペアレンツとの
新しいコミュニケーションのはじまりを
一歩ずつ踏み出すきっかけを
新しい視点に気づかせてくれるスパイスをお届けします
これを私は繁延さんの言葉を借りて 「広い『フレーミング』で育児と向き合う」 ことだと解釈しました。
もちろん時々ドアップの写真があってもいいんだけれど、その外側には風景があって、社会がある。
つい子どもと自分だけの世界になってしまいそうな時こそ、
私は広い世界のなかで子育てをしているんだと視点を拡げられたらと思いますし
そこで生まれるコミュニケーションこそが、子育て中の視野を広げる鍵であり、
救いだったと、実体験を通して感じています。
コミュニケーションがあれば、もっと広いフレーミングができるようになる。
そして私の子育ては少しずつ豊かになっていく。
もっともっと大きな視点で沢山の人達と、子育てのフレームをどんどん拡げていきたい。
新しい季節、そんなことを思う春になりそうです。
この景色、息子の目にはどう映っているのでしょう。いろんな世界を見て欲しいです。
柿沼 絢乃
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