PARENTS JOURNAL

One day morning

あの高く広い青空と乾いた風が、気分をさわやかにしてくれた。



夜10時近くまで太陽が出ていて、仕事終わりにビーチや公園に行って散歩したりしたっけ。



すでにバンクーバーの夏がすこしだけ恋しくなっている。





8月の終わり頃からブリティッシュ・コロンビア州では山火事が大発生していた。



州内では600ヶ所以上で山火事が起きていたので、朝も昼も夜もなんだかぼんやりした薄グレーの眠たい空になってしまった。





ビルのてっぺんも見えなくなるくらい街も灰っぽくなってきた頃、やさしくシャワーで洗い流すみたいに雨が降った。たしか、5日間くらい雨の日が続いた気がする。





朝起きて、すでにリビングにいたルームメイトに、今日の天気はどんな感じかなあと話したら今日は晴れているみたい、と言っていた。



窓から外を見たら、確かに家の前に停まってる車に日の光が当たっている。



よかった、今日は傘を持っていかなくていいやと思い、いつものようにのろのろと身支度を始めた。





ドアを開けた。日差しはまだ低く、はっきりとした光で隣人の家の庭を照らしている。そしてひゅうっと静かに冷たい風が吹いた。



するどく斜めから朝日が射していて、歩き出す私の背中を温めている。



露が結んだ芝生の上を歩き、ソックスが濡れてヒヤッとした。





なんだか、一日寝たら冬の空気みたいになった。



何かが終わりそうで、でもその代わりに何かが始まりそうで、どきどきする。こんな空気は。




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