JOURNAL

秋の庭園美術館

二十歳ごろから美術館によく行くようになり、気がつけばアートに携わる仕事もするようになっていました。
ラジオでの展覧会紹介やアーティストへのインタビュー、また現代アートという分野でのコーディネートの仕事などなど。
日本には美術館が山ほどあって、その土地土地の場所や自然に馴染んだ建築や作品たちを鑑賞するのも、旅の目的になっていたりしますよね。

現在は逗子を拠点に活動していますが、仕事で東京に行くときは必ずといっていいほど美術館やギャラリーに行きます。中でも好きな場所が東京都庭園美術館。JR目黒駅から徒歩5-6分ほど。意外にもあまり知られていない穴場スポットかもしれません。

何より魅力的なのがその建築。もともとは日本の皇族の住居や迎賓館として使われていて、アール・デコ様式の格式あるインテリアそのままにアート作品が展示されているという珍しい背景。
通常だとホワイトキューブという白い壁に囲まれた空間が美術館だと多いのですが、この庭園美術館ではまるで映画のセットのような、時代を超越してきたような、異なる空気を纏った空間で芸術鑑賞を体験することができるのが、おもしろいところ。

あと、何よりも外せないのは敷地内の芝生!
青々しい几帳面に整備された芝生広場が隣接していて、ここでのんびり過ごす時間がたまらない。木々に囲まれた自然豊かな場所でもあり、都会のど真ん中なのに、そんなことは微塵も感じさせない佇まいが、はい何度も言います、たまらないんです。
 

さて、長くなりましたが、現在開催中の展覧会も少しご紹介。
「生命の庭 8人の現代作家が見つけた小宇宙」という日本の現代アーティスト8名によるグループ展が始まっています。緑豊かな庭園美術館を舞台に、作品を通して人間と自然との関係性を問い直すという内容。
 

その中でも、加藤泉さんの作品を目指し観にいってきました。
加藤泉さんは昨年品川の原美術館(+群馬のハラ・ミュージアムアークでも同時開催)で個展を開催していて、その際に作品をご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、原始的な人間像をモチーフに、生命力溢れる作品を生み出している方です。(そういえば、原美術館は閉館が決まっていて現在最後の展覧会が行われているんですが、こちらはまた別の機会に。) 最初に加藤さんの作品を見たときは、そのプリミティブな風貌に思わずギョッとしましたが、荒々しさの中にどことなく可愛さもある作風に次第に魅了されていきました。
キャンバスによるペインティングだけでなく、木の彫刻や石の立体作品、ソフトビニールやテキスタイルなど、素材を変化させながらも一貫した世界観、存在感が圧倒的なんです。

今回の展覧会はすでに玄関前から展示が始まっていて、すでに置かれている狛犬に並ぶようにして、来場者をお出迎え。

エントランス入ってすぐにこちらの木彫。目の前にすると、思わず立ち尽くしてしまうほどの迫力。

こんなところにも。

これまで屋内・屋外問わず様々な場所で展示されている加藤作品は、自然界に馴染むのはもちろんのこと、空気の流れを変えてしまうほどの不思議な力が漲っているなぁと。
どんなことがあろうと、生きていく力。生命力。何を隠すことなく、生々しく、赤裸々に。人間という、美しくも時に残酷な生き物を飾ることなく芯から捉えているような、そんな感覚を毎回覚えます。

 

ちなみに庭園美術館の隣には、自然教育園という長く人が立ち入らず、自然のあるがままの姿を見ることができるエリアがあります。
そうしてみると「都会に自然がある」なんて表現はちょっとおかしくて、あくまでも自然がずっと先で、その自然の中に人が、街がお邪魔しているという方が正しいんだろうなぁなんて考えたりもして。

アートを通して、作品やアーティストたちの視点を通して、自分が気づかなかった考えや視点を知ることができる。
なんだろうやよくわからないも沢山経験しながら、自分はどう思うだろうか、どう感じるのか。
結局答えもでないままだったりもするのがほとんどですが、、、
そんな時間を過ごせる美術館での時間が、やみつきになっているのかなと思います。

もちろん、芝生でのゆるやかな時間も。

 

 

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